こんばんわ、ポイ積です。
1月4日(月)日本経済新聞朝刊に掲載されましたアサヒグループに関する記事を整理しました。脱炭素っていうのは、製造業でもある以上、一見関係のなさそうな飲料業界にまで影響を与えるのですね。
特にその道への考え方が進んでいる欧州等では、「炭素税」の導入が検討されていることもあり、こうしたことへの対応が業績を左右することになるのですね。一時的に対応へのコストはかかってしまうかもしれませんが、将来的なコスト負担(実際には再生エネの方が安くなり負担抑制にもつながる)を考えれば必要な対応なのでしょうね。ブランドにも影響するし。
【記事概要】
- アサヒグループホールディングスは2025年までに欧州で展開する全17工場で、使用電力を全て再生エネに切り替える。
- 風力発電が普及し、再生エネの調達コストが安い欧州で先行し、2050年には世界の全工場での達成を目指す。
- アサヒの2019年の世界電力使用量の、約30%を欧州事業が占める。2020年にオランダとイタリアの計4工場を風力発電を中心とした再生エネ100%に切り替え、2021年にはポーランドの3工場も切り替える。欧州の残る10工場も2025年までに風力や太陽光などの再生エネに全て切り替える。
- 欧州では風力発電のコストが下がるなど再生エネを調達しやすく、全工場を切り替えても従来対比で電力コストは下がる見通し。
- アサヒは世界で76の工場を持つが、再生エネの利用率は8%。これを2050年には100%とすることを目指す。
- 温暖化ガスの排出量削減に向けて、世界では排出量に応じて課税する炭素税や超過分を市場でやり取りする排出枠取引の導入が進みつつある。排出量1tあたり100㌦の炭素税が全世界で導入された場合、2030年には最大57億円のコスト増につながる。
- 事業で使用する全電力を再生エネで賄うことを目指す国際的な企業連合「RE100」に、アサヒも2020年10月に加盟した。(世界280社超、日本企業は46社。)
- 再生エネ100%は電力使用量の少ないITや金融機関を中心に30社超が2018年時点で達成しているが、製造業では2040〜2050年代での達成を目指す企業が多い。欧州限定とはいえ、2025年で達成を目指すのは珍しい。
- アサヒにとっては、温暖化が進むとビールの原料である農作物の収穫量が減る恐れがあるため、事業そのものに直結する面もある。
- キリンは40年までに工場やオフィスなど世界全体の電気使用を全て再生エネにする方針を打ち出しており、他酒類大手も温暖化ガスの排出削減や再生エネ導入を急ぎ始めている。
- 再生エネの導入に熱心なのは欧米。再生エネの発電コストが化石燃料を下回り始めており、気候変動対策のみならず電力コストの長期的抑制にもつながる。
- 日本国内でも太陽光発電の発電コストが直近10年で3分の1未満に低下しているが、「RE100」がまとめたレポートによれば、企業の再生エネ調達が「最も困難な市場」として日本は中国やロシアと並んで位置付けられた。再生エネのコストが高いためだ。再生エネの導入コストがどこまで下がるかが、日本で根付かせる条件となる。